2024年10月29日から31日(日本時間)にかけて、M4シリーズのチップを搭載した新しいMacが3つ登場した。この3つのMacの特徴をまとめつつ、発表形態やタイミングを考えたい。なお、今回登場したMacはすべて予約が開始されており、11月8日発売だ。
iMac (24-inch, M4, 2024)
まず初めに登場したのは、M4チップを搭載したiMacだ。iMacはM3の更新を昨年の同シーズンに行なっており、1年経ってのアップデートとなった。今回のアップデートで、従来までのデザインを維持したまま、側面と背面の色が若干淡い色合いに変更され、白ベゼルの筐体に合うようになった。
M4チップを搭載したことで、2世代前のM1と比べて2.1倍の高速化がされていると説明している。また、新たにThunderbolt 4ポートを背面に4発搭載し、従来の2発から倍増させた。RAMは最低容量が16GBとなり、Apple Silicon移行以前から長らく続いてきた8GBの最低容量はマルチタスクやAI需要の高まりから幕を下ろした。また、最大で32GBまで積めるようにもなった。
ディスプレイは引き続き23.5インチの4.5K Retinaディスプレイを採用しているが、新たに低反射のNano-Textureガラスオプションが追加された。カメラはStudio Displayでも採用されている、Center Stageとデスクビューに対応した超広角12MPカメラを搭載した。
スタート価格は¥198,800で据え置き、RAMの増加を考えると実質的な値下げとなった。
Mac mini (2024)
Mac miniはデザインの変更を含む大幅なアップデートがされた。従来のMac miniは縦横が一辺20cm程度であったが、今回12.7cmまで小型化がされた。従来のサイズはApple Silicon以前の2012年から採用しており、Apple Silicon化以降はスペースに余裕が生まれていた。そこに目をつけ、今回は大幅な小型化ができたという算段だ。また、本体前面にもUSB-Cポートを2発搭載した。さらに、Macシリーズ初、且つApple製品全体で見ても5弾目となるカーボンニュートラル化がされ、製造から輸送まですべての段階で二酸化炭素を排出しなく、一部排出してしまった分は植樹をすることで相殺するという算段だ。
チップはM4とM4 Proを搭載した。M4チップモデルは、前述したiMacと同様にRAMの最低容量が16GBに増量され、最大で32GBまで積めるようになった。さらに、Thunderbolt 4ポートも3発に増え、6K2枚と5K1枚のディスプレイ出力に対応した。
M4 Proチップモデルは、Mac史上初となるThunderbolt 5ポートを3発搭載し、最大の転送速度は従来の3倍となる120Gbpsにのぼる。RAMは最大で64GBまで搭載できるようになり、ディスプレイ出力は6K3枚まで対応するなど、Maxチップ顔負けの性能となった。
価格はM4チップモデルが¥94,800スタート、M4 Proチップモデルが¥218,800スタートとなる。
MacBook Pro (2024)
連夜発表最終日のトリを飾ったのは、おそらく最も期待度が高かったであろうMacBook Proだ。
M4・M4 Pro・M4 Maxの3種類のチップを搭載し、全モデルThunderboltポートが3発に、さらにThunderbolt 5をProとMaxは搭載した。また、Maxは6K3枚と4Kという合計4枚のディスプレイ出力にも対応した。RAMは他と共通でM4は最小16GBに増量、M4 Maxは引き続き最大128GBに対応する。
ディスプレイは屋外のSDR輝度が1000nitsに上がり、Nano-textureオプションも追加された。カメラはCenter Stageに対応した超広角12MPカメラを積み、前述したiMacとも共通化された。
価格は14インチのM4最小構成で¥248,800スタート、16インチはM4 Proで¥398,800スタートとなる。
Apple Intelligence
この3つの製品を発表するにあたって、どのプレスやページでもAppleの開発したAI、Apple Intelligenceを強くアピールしていた。実際に一部の機能を搭載したファーストリリースは第1弾となるiMacの発表と同時に行われている。このApple Intelligenceは端末内動作(ローカル動作)を主軸にしているため、それに相応するNeural EngineやGPUのスペック、RAMの余裕が求められることになる。そこで、今年5月に発表したiPad Proで検証済みの性能を持つM4チップファミリーでの進化を主要製品群に対して行なったものだろう。また、12月にはImage PlaygroundやChatGPT連携などの機能を含むアップデートを予定しているため、それまでに最新スペックを普及させておきたかったという点もあるだろう。
また、RAMの容量に将来的な余裕を持たせるため、すべてのMacBookが16GBスタートの構成に変更された。これについては実質的な値下げとなり、Apple Intelligenceのためのアップデートであるという要素は大きいだろう。
なお、現状使えるApple Intelligenceの機能は以下の記事で解説している。
予告からの三夜連続という新パターン
今回の発表は、以前まで行われていたプレスリリースベースの発表と異なり、あらかじめ発表することが予告されていた。Appleの上級副社長、グレッグ・ジョズウィアック氏がXで月曜の夜からMacについての発表がある週が始まるという内容が3日前の金曜日に以下のようにポストした。
イベントの予告と似たようなロゴの方式であり、複数の新製品が登場することがわかった。従来、イベントを行う際はそこに関心を惹きつけることができるが、プレスリリースだとそうはなりにくい。そして、方々からリークが出ることも通例となってしまっており、それにユーザーの関心を持っていく手段として、プレスの予告というスタイルを使ったのではないだろうか。
そして、発表の際にはイベントを模した10分程度の尺の動画が該当の製品サイトとYouTube上で公開されている。これについては、2022年のiPad Pro (M2)とiPad (10th)を発表するときにも行なったやり方で、これを見れば概要が把握できる、という見せ方は上手いだろう。
この発表群が行われたのは10月の29日から31日。つまり、Apple Intelligenceのリリースからハロウィーンまでというスタイルで、昨年のハロウィーン前日の夕方(現地時間)に行われた「Scary Fast」イベントも彷彿とさせる。やはり、MacはAppleにとっても重要な製品ということを示唆しているのだろう。
最後に、Macラインナップの価格表を掲載する。
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