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Apple Intelligenceレビュー Vol.1:大きな期待への、小さな一歩。

2024年10月29日(日本時間)、ついにApple Intelligenceが搭載されたiOS 18.1、iPadOS 18.1、macOS Sequoia 15.1が配信された。この記事では、「Apple Intelligenceとは」という基礎知識から実際の使用感まで、現在公開できる限りの情報をまとめる。

目次

Apple Intelligenceとは

Apple IntelligenceとはAppleが開発したジェネラティブAIのアシスタントサービスで、WWDC24の目玉として発表された。なお、Apple Intelligenceという名称は長いため、以下「Apple Int」と略記する。

WWDC中でApple Intについて、Appleは次の5点が重要なポイントだと説明している。それは、「パワフルであること」「直感的で使いやすいこと」「製品体験に結びついていること」「パーソナルコンテキストに根差していること」「プライバシーを守ること」だ。そして、それによりただのAIではなく「パーソナルAI」になり得るとも説明している。

実装される機能

まずは言語関係について、Apple Intは各国語ネイティブなローカルLLM (Large Language Model / 大規模言語モデル)を用途ごとに多数持っており、それを組み合わせることによって軽量でパワフルな自然言語の操りができる。具体的には、iPhoneに来た通知の文脈を理解しそれに優先順位をつけることによって、重要な通知のみを確実に受け取れるようになる。また、全く新しい作文ツール(Writing Tools)によって、文章の書き直しや校正、要約ができる。そして、このツールはシステム全体でアクセスできるため、Apple純正のメールやメモ、PagesのほかWordはじめとするサードパーティアプリでも使えるようになる。

次に、画像関連の機能だ。ついにデフォルトでも写真や絵文字などオリジナルの画像を作れるようになり、且つそれがシステムに内包されている「Image Playground」が登場する。そのため、ただ画像を生成するだけでなく、写真アプリの「ピープル」に登録された人の中から、その人物をベースに誕生日の際にはケーキや風船で囲むなどの画像を生成できるようになる。また、メモアプリのImage Wandツールにより、ラフスケッチを元に画像を生成できるようになる。さらに、Genmojiという機能によって、オリジナルな絵文字を作成できるようになる。もちろん、これらもメッセージアプリなどから直接呼び出せる。

それから、パーソナルコンテキストの理解も重要な要素だ。Apple Intはメールやメッセージ、カレンダーや写真など数多くのパーソナルな情報にもアクセスできる。そのため、例えばリスケの際には周りの予定や地図などのデータを組み合わせ、ユーザーに最適な情報を提示できる。そして、これらはSiriに質問するだけでよく、音声だけでなくホームバーをダブルタップすることでType to Siriを呼び出し、テキストで質問することもできるようになる。

そして、これらの動作の多くは、AチップやMチップなどApple Siliconのパワーを活かしローカル(オンデバイス)で処理できる。さらに、それでも足りない分に関しては、米国オレゴン州のサーバーにあるクラウド、Private Cloud Computeにアクセスすることで、セキュリティとプライバシーを保ったまま高度な処理ができる。このサーバーはストレージを持たず、メモリのみで動作するため、ユーザーのデータが悪用される危険性がなくなるという算段だ。

WWDC中でAppleがApple Intのまとめとして用いたスライド

目指す先は「仲介AI」

さらに高度な知識が必要な際、OpenAIのChatGPT (GPT-4o版)に接続できる。Siriとの対話の中で具体的なアイデアが欲しい場合や、Writing Tools内で文章を生成して欲しい場合などは、システムに統合されたChatGPTによってシームレスに利用を開始できる。また、画像を読み込ませることも可能で、iPhone 16シリーズから搭載されたCamera ControlによるVisual IntelligenceからChatGPTを呼び出すこともできる1

また、その接続の際にはユーザーの承認を求める形となり、承認がないと接続できないという仕組みにすることでユーザーのプライバシーを保持する形を保つ。将来的にはGoogle Geminiへの接続も目指しており、その際にも同様の仕組みとすることが予想される。

つまり、これらの取り組みはAppleだけで完結させるのではなく、他社とコラボレートすることでそれぞれの強みを適材適所使える、仲介AIを目指しているということであろう。実際、AppleはOpenAIのことを「AI分野のパイオニアとして市場を牽引している」とWWDC中で紹介したことからも、自社で全知全能を目指す気はないのだろう。

なお、Apple Int自身は新たに文章を生成できないほか、画像についてもリアリティのあるものは生成できず、アニメ風やイラスト風などに限ることにより、ジェネラティブAIによるフェイクの危険性を最小限にしている。

“AI for the rest of us.”

Appleは、このApple Intのキャッチコピーを”AI for the rest of us.”とした。この言い回しの起源は1984年のMacintoshまで遡り、マウスを採用したことにより直感的な操作ができるようになったことを、”Computer for the rest of us.”というキャッチコピーで宣伝した。この”for the rest of us”という表現は、「みんなのために」という意味で、Macintoshにおいてはその操作を習得するために必要な学習量が少なくなったことから、誰でも使いやすい「パーソナル」コンピュータであるという意味を持っている。

Apple Intにおいては、ユーザーに寄り添ったパーソナルAIを目指して開発されている。これはMacintoshの開発思想と似た点を持っており、既にあるSiriに機能を追加するという形で実現することにより、誰でも使いやすい”for the rest of us”なAIであることを訴求する。

対象機種

Apple Intは前述したようにローカルでの動作を前提としているため、それに相応したハードウェアスペックが求められる。具体的には、A17 Pro・A18以降、またはMチップを搭載していることが条件となる。そのため、対象機種は以下の通りとなる。

  • iPhone 15 Pro以降
  • iPhone 16以降
  • iPad Pro 2021以降
  • iPad Air 2022以降
  • iPad mini 2024以降
  • MacBook Air Late2020以降
  • MacBook Pro Late2020以降
  • Mac mini 2020以降
  • iMac 2021以降
  • Mac Studio (全モデル)
  • Mac Pro 2023以降

対象言語と時期

Apple IntのローカルLLMの軽量化は、現在開発中の技術を多く用いているほか、その学習にも時間を要する都合から段階的な展開となる。

現在は、米国英語にのみ対応している。そして、ローカライズされた英語に関しては、オーストラリア・カナダ・ニュージーランド・南アフリカ・英国に年内に対応する。また、多言語対応についても、1年以内に日本語や中国語をはじめ多くの言語に対応すると明言している。

なお、米国英語についても現在すべての機能は利用できず、それらについても次回のアップデート待ちとなっている。

Apple Intの対応言語一覧

現在利用できる機能

前述した通り、現在最新のOS群では正式に利用ができるようになっている。筆者は、Beta版から利用しており、およそ1ヶ月半使った上での感想も合わせてレポートする。なお、検証環境はiPad Pro (11インチ、M1)である。

現在、デバイスの設定言語を米国英語に設定することで、以下の機能が利用できるようになっており、これについて本記事では説明していく。なお、日本語設定では利用できないため、英語のツール名を併記する。

なお、Clean Upについては日本語設定のままでも利用可能だ。

現在利用できる機能

  • Siri 2.0 ※ (一部機能のみ、米国英語)
  • 作文ツール / Writing Tools (米国英語)
  • クリーンアップ / Clean Up
  • 写真の自然言語検索・Memory Movie
  • 音声の文字起こし / Transcript (米国英語)
  • スマートリプライ / Smart Reply (米国英語)
  • メールの要約と優先度メッセージ (米国英語)
  • さまたげ低減 / Reduce Interruptions (米国英語)

現在ではまだ利用できない機能 (多くはiOS 18.2にて実装)

  • ChatGPT連携
  • Image Playground (Genmoji、Image Wand含む)
  • Visual Intelligence (iPhone 16シリーズ向け)
  • 優先通知 / Priority Notifications
  • Siriのオンスクリーン認識
  • 新しいメールアプリのデザイン
  • 米国英語以外の言語への対応

※:便宜上、Apple Int以前のSiriをSiri 1.0、以降のSiriをSiri 2.0と表記する。

使用開始までの手順

Apple Int対象機種で、iOS 18.1、iPadOS 18.1、macOS Sequoia 15.1へアップデートした上で、デバイスの設定言語を米国英語とすることでApple Intをオンにできるようになる。この時、デバイスのストレージに4GBの余裕が必要だ。地域設定は、日本については特に規制がないため、日本に設定した状態でも使える。ただし、地域設定がEU域内または中国大陸内の場合は使用できない。また、中国大陸版の端末では地域設定がどこであっても使用できない。

なお、Siri 2.0の表示と機能を使うためには、併せてSiriの設定言語も米国英語に設定する必要がある。ただし、この設定をすると同一Apple Account (旧Apple ID)の他端末も自動で英語設定となってしまうため、日本語Siriを必要とする人は控えておくべきだ。

Siri 2.0

全く新しいSiri 2.0では、画面全体を覆うような起動アニメーションと、ベゼルを囲うような動作の表示により、端末にインテグレートされているように感じられるデザインになっており、非常にエロティックな印象だ。また、併せて起動音も変更されている。さらに、iPhoneやiPadではホームバーをダブルタップすることにより、テキストでSiriに質問する「Type to Siri」が使えるようになった。従来のType to Siriではサイドボタン長押しの音声Siriと排他仕様であったため、今回新たな操作方法が加わり併用が可能になったという格好だ。

このSiriは、自然言語の理解力が高まったため、タイマーの設定時間を言い間違えた際や、アラームを複数重ねて設定したい際などは同じことを繰り返し言う必要がなくなり利便性が向上する。Type to Siriにおいては文章を入力しないでも、上部に3つの候補が出るようになった。これにより、フルセンテンスを書かずとも行いたい動作を瞬時に実行できるようになった。

また新たに、iPhone / iPad / Mac User Guideに基づく製品知識を持ったことから、「コントロールセンターの開き方」などデバイスの操作方法、そして「アラーム音の変更方法」などの純正アプリに関する操作方法も訊くことができるようになった。

ただし、オンスクリーン認識や、他アプリからの情報を引っ張ってくる機能、ChatGPTとの連携は未実装で、今後のアップデートに期待する部分となる(この機能が実装されたタイミングで、別途記事にまとめる予定だ)。さらに、おそらく日本語での情報を引っ張ってくることは英語設定だと難しいため、日本語フル対応が待たれる。

新しいSiriの様子
全く新しいType to Siri

作文ツール (Writing Tools)

テキスト系ツールの一つの目玉は、やはりWriting Toolsだろう。どのアプリでも、テキストを選択したメニュー、あるいは副ボタンクリックによってコピー&ペーストやWeb検索、翻訳などと同列でこのメニューが表示される。

副ボタンクリックで出現するWriting Toolsのメニュー (スクリーンショット)

Writing Toolsで出来る機能は、下記画像の左上から「Proofread (校正)」「Rewrite (書き直し)」「Friendly (親しみやすく)」「Professional (堅く)」「Concise (簡潔に)」「Summary (要約)」「Key Points (要約の箇条書き)」「List (全文の箇条書き)」「Table (表)」であり、それぞれの動作後には、クリップボードにコピー、置き換え、共有ができるようになっている。

Writing Toolsで使える機能 (スクリーンショット)

ここからは、実際にそれぞれの機能を使ったビフォーアフターを紹介する。なお、例文の作成はChatGPT、翻訳はDeepLを用いて実験している。

Proofread

Before
Last weekend, I had planned going to the cinema with my friends, but they all was busy, so I didn’t went and stay home instead.

After
Last weekend, I had planned going to the cinema with my friends, but they all were busy, so I didn’t go and stayed home instead.

they allへのbe動詞をwasから複数形のwereに、didn’t後の動詞を原型、その後を過去形にするなど、きちんと文法的に違和感のない文章へ直せている。

Before
If I would have known about the event earlier, I could attend it. But since nobody didn’t tell me, I missed it, and I regrets that now.

After
f I had known about the event earlier, I could have attended it. But since nobody told me, I missed it, and I regret that now.

過去の事実に基づく仮定法は「If I would have known」から「If I had known」に、二重否定(ダブルネガティブ)を避けるため「nobody didn’t tell me」から「nobody told me」へなど、文法的な間違いをきちんと指摘し直せている。

Rewrite

Before
Yesterday, after I finished my homework, the movie that I wanted to see, I went to watch it at the cinema with my friends.
(昨日、宿題を終えた後、見たかった映画を友達と映画館に見に行った。)

After
Yesterday, after completing my homework, I headed to the cinema with my friends to watch the movie I had been eagerly anticipating.
(昨日、宿題を終えた私は、友人たちと映画館に向かい、心待ちにしていた映画を観た。)

「みたかった映画を友達と映画館へ」から「友達と見たかった映画を映画館へ」の順に直されており、より自然な英語になっている。

Before
To the park, after we finished lunch, we decided to go, even though the weather, it didn’t look very good.
(公園へ、昼食を済ませた後に行くことにした。しかし、天気は悪かった。)

After
After finishing lunch, we decided to go to the park, despite the not-so-great weather conditions.
(昼食を済ませた後、天気はあまり良くなかったが、公園に行くことにした。)

日英の語順の違いからBeforeの和訳が2文になってしまっているが、そのわかりにくい点が時・状況・動作の順にきちんと整理されている。また、「not-so-great」という日常的な口語表現を使えている点も高評価だ。

Friendly

Before
Upon the conclusion of our midday meal, we proceeded to make the decision to visit the nearby recreational area, notwithstanding the fact that the meteorological conditions appeared suboptimal.
(おいしい昼の食事の後、天気はあまりよくなかったが、近くの公園に行くことにした。)

After
After our delicious midday meal, we decided to head to the nearby park, even though the weather wasn’t looking great.
(おいしい昼の食事の後、天気はあまりよくなかったが、近くの公園に行くことにした。)

Beforeに使われている「Upon the conclusion of」「notwithstanding the fact that」「meteorological conditions」などの日常会話ではあまり使われない高度な表現や語彙を、きちんと噛み砕いて簡潔にまとめられているが、訳文の通り内容は保たれている。

Before
Despite being cognizant of the challenges presented by the inclement weather, we resolved to proceed with our outdoor excursion, as we had previously committed to doing so.
(悪天候がもたらす困難を認識しながらも、私たちは以前から約束していた通り、屋外での遠足を続行することを決意した。)

After
Despite the crazy weather, we decided to go for our outdoor adventure anyway. We had already made plans, so we couldn’t back out now!
(とんでもない天候にもかかわらず、私たちはとにかく屋外の遠足に出かけることにした。私たちはすでに計画を立てていたので、今さら引き下がることはできなかった!)

長く遠回りな表現を極力避け、且つ2文に分けることで伝わりやすい英語に変換できている。

Professional

Before
We were gonna go on this trip, but the weather sucked, so we just stayed home instead. We didn’t really feel like dealing with all that mess.
(この旅行に行くつもりだったんだけど、天気が最悪だったから、代わりに家にいたんだ。そんな面倒なことはしたくなかったんだ。)

After
Due to inclement weather, we opted to forgo our planned trip and remain indoors. The prospect of navigating the associated inconveniences was deemed unappealing.
(悪天候のため、私たちは予定していた旅行を見送り、屋内にとどまることにした。それに伴う不都合を避けるためだ。)

口語調から文語調に、そしてそれぞれの表現をフォーマルな形に直すことができている。

Before
To the Boss,
Heyyy!
Since I’ve had a tummy ache since morning and the struggle is real,
I’ll catch a few Z’s on the bed for now.
If possible, I’ll be “maybe attending” tomorrow.

ボスへ
やあやあ!
朝からお腹が痛くて、苦しい、
とりあえず、ベッドの上で少し休むことにする。
できれば、明日は「たぶん出席」します。

After
Hello,

I am writing to inform you that I will be unable to come into work tomorrow due to an ongoing stomach ache. I am currently experiencing severe discomfort and will need to rest.
I will keep you updated on my condition and let you know if I am able to return to work as planned.
Thank you for your understanding.

Sincerely,

こんにちは、
胃痛が続いているため、明日出社できないことをお知らせします。現在、強い不快感を感じており、安静が必要です。
私の容態については随時報告し、予定通り仕事に復帰できるかどうかお知らせします。
ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
敬具

上司へとても失礼なメールの文章を仕立てているというシチュエーションだが、それをきちんと認識し、敬具で締める非常に丁寧且つメールのフォーマットに沿った綺麗な文章に仕上げられている。

Concise

Before
In light of the fact that we had initially planned to depart for our vacation early in the morning, but upon careful consideration of the less than ideal weather conditions, which included forecasts of heavy rain and strong winds, we came to the ultimate conclusion that it would be in our best interest to postpone the trip to a later date, thereby avoiding any potential discomfort or inconvenience.
(私たちは当初、早朝に休暇に出発する予定だったが、大雨と強風の予報を含む理想的とは言えない天候を慎重に検討した結果、旅行を後日に延期することが最善であり、それによって潜在的な不快感や不便を避けることができるという最終的な結論に達した。)

After
Considering the poor weather forecast, including heavy rain and strong winds, we decided to postpone our vacation trip to avoid any discomfort or inconvenience.
(大雨と強風を含む悪天候の予報を考慮し、不快感や不便を避けるために休暇旅行を延期することにした。)

検討に検討を重ねていたBeforeと比べ、Afterでは理由と結果が簡潔にまとまっている。

Before
Due to the fact that the meeting, which had initially been scheduled to take place earlier in the day, was postponed until a later time, we found ourselves with an unexpected amount of free time, during which we ultimately decided to engage in a variety of activities that we otherwise would not have had the opportunity to pursue.
(当初はもっと早い時間に予定されていたミーティングが後日に延期されたため、私たちは思いがけず自由な時間を持つことになった。)

After
Due to the postponement of the meeting, we had unexpected free time. We decided to pursue various activities we otherwise wouldn’t have had time for.
(会議の延期により、私たちには思いがけない自由時間ができた。そうでなければ時間が取れなかったであろうさまざまな活動をすることにした。)

二文に分け、全体的に短くまとめている。特に、「Due to the fact that the meeting, which had initially been scheduled to take place earlier in the day, was postponed until a later time」を「Due to the postponement of the meeting」にかなり簡略化されている。

Summary

Before
Apple revolutionized personal technology with the introduction of the Macintosh in 1984. Today, Apple leads the world in innovation with iPhone, iPad, Mac, AirPods, Apple Watch, and Apple Vision Pro. Apple’s six software platforms — iOS, iPadOS, macOS, watchOS, visionOS, and tvOS — provide seamless experiences across all Apple devices and empower people with breakthrough services including the App Store, Apple Music, Apple Pay, iCloud, and Apple TV+. Apple’s more than 150,000 employees are dedicated to making the best products on earth and to leaving the world better than we found it.

After
Apple revolutionized personal technology with the Macintosh and now leads the world in innovation with its diverse product line and software platforms.
(AppleはMacintoshでパーソナル・テクノロジーに革命をもたらし、現在では多様な製品ラインとソフトウェア・プラットフォームでイノベーションの世界をリードしている。)

このBeforeの文章は、AppleがNewsroom(プレスリリース)内で自社の紹介文として使っているものだ。Summaryでは、具体的な製品名を多く出さずに要点をまとめている。

また、長文に対してもこれは有効で、iPhone 16 ProのリリースをSummaryにかけると以下のように出力される。

Apple unveiled the iPhone 16 Pro and iPhone 16 Pro Max, featuring larger display sizes, enhanced camera capabilities, and improved battery life. The new models are powered by the A18 Pro chip and incorporate Apple Intelligence, which utilizes generative models to provide personalized assistance and enhance user experience. The Pro lineup also introduces Camera Control, a new tactile interface that simplifies camera operation and enables advanced features like focus and exposure control.
The iPhone 16 Pro and Pro Max models feature a new 48MP Fusion camera, spatial photos, and enhanced video capabilities. The A18 Pro chip provides industry-leading performance and power efficiency, enabling advanced Apple Intelligence features. The devices also offer expanded safety capabilities, including Emergency SOS via satellite and Roadside Assistance via satellite, and are designed with environmental sustainability in mind.

元が15,000字程度であったところから1,000字未満に収められているため、要点を収めたまま簡潔にまとめられている。

Key Points

今回は、iPad mini (A17 Pro)の発売を報じるリリースをKey Pointsで整理した。

New iPad mini Features: Powered by the A17 Pro chip, supports Apple Intelligence, Wi-Fi 6E, USB-C port, and Apple Pencil Pro.
Performance Enhancement: A17 Pro chip provides a significant performance boost, enabling the use of pro apps and faster processing for tasks like photo editing and AR applications.
Apple Intelligence Integration: Supports Apple Intelligence, a personal intelligence system that understands user context and provides helpful and relevant information while protecting privacy.
Storage Options: 128GB, 256GB, and 512GB.
Available Colors: Blue, purple, starlight, and space gray.
Starting Price: $499 (U.S.) for the Wi-Fi model, $649 (U.S.) for the Wi-Fi + Cellular model.

タイトルと本文という形でわかりやすく箇条書きにまとまっており、且つ本文も短いため非常にわかりやすい要約になっている。

List

Before
Apple revolutionized personal technology with the introduction of the Macintosh in 1984. Today, Apple leads the world in innovation with iPhone, iPad, Mac, AirPods, Apple Watch, and Apple Vision Pro. Apple’s six software platforms — iOS, iPadOS, macOS, watchOS, visionOS, and tvOS — provide seamless experiences across all Apple devices and empower people with breakthrough services including the App Store, Apple Music, Apple Pay, iCloud, and Apple TV+. Apple’s more than 150,000 employees are dedicated to making the best products on earth and to leaving the world better than we found it.

Before
・Apple revolutionized personal technology with the introduction of the Macintosh in 1984.
・Today, Apple leads the world in innovation with iPhone, iPad, Mac, AirPods, Apple Watch, and Apple Vision Pro.
・Apple’s six software platforms — iOS, iPadOS, macOS, watchOS, visionOS, and tvOS — provide seamless experiences across all Apple devices.
・Apple’s breakthrough services include the App Store, Apple Music, Apple Pay, iCloud, and Apple TV+.
・Apple has more than 150,000 employees dedicated to making the best products on earth and to leaving the world better than we found it.

先ほども用いたAppleの説明文をListにかけたところ、それぞれの文章を箇条書き形式にし、「Apple」を主題とするような語順に整理されている。

Table

Before
Customers in more than 58 countries and regions, including AustraliaCanadaChinaFranceGermanyIndiaJapanMalaysiaMexicoSouth KoreaTürkiye, the UAE, the U.K., and the U.S., will be able to pre-order iPhone 16 Pro and iPhone 16 Pro Max beginning at 5 a.m. PDT this Friday, September 13, with availability beginning Friday, September 20.
iPhone 16 Pro and iPhone 16 Pro Max will be available in MacaoVietnam, and 19 other countries and regions beginning Friday, September 27.

After

RegionPre-order Start DateAvailability Start Date
Australia, Canada, China, France, Germany, India, Japan, Malaysia, Mexico, South Korea, Çüe, UAE, U.K., U.S.5 a.m. PDT this Friday, September 13Friday, September 20
Macao, Vietnam, and 19 other countries and regionsN/AFriday, September 27
Writing Tools「Table」ツールで作成した表

iPhone 16 Proのリリース中から発売地域と日にちが書かれた部分を用いてTableでまとめた。該当しない点はN/A (Not Applicable: 該当なし)と表示し、地域・予約開始・発売開始の3点を綺麗にまとめることができている。

実際の動作は以下のような感じだ。

Writing Tools動作の様子

Clean Up

Writing Toolsと並ぶ目玉機能はClean Upだろう。近年各社がこぞって採用している機能で、代表的なもので言うとGoogleのMagic Eraser/消しゴムマジックはTVCMの影響も相まって非常に人気の機能だ。ここでは、作例をいくつか紹介する。

Anker Store銀座店。自転車や店内など、比較的綺麗に補正できている。
銀座サヱグサビル。路面のブロックは流石に厳しかった。
通行人を一掃した表参道。対象物が小さい分「ぱっと見の違和感」は少ない。

シチュエーションは選ぶが、それなりに実用に足る性能になっていると感じた。また、人物の顔を選択することで、削除の代わりにモザイク処理をかけることもできる。

写真の自然言語検索・Memory Movie

iOS/iPadOS/macOSのデフォルトで入っている、写真アプリの「メモリー」と言う機能をご存知だろうか。自身の写真ライブラリに入っている画像や映像のうち、日にちや場所ごとに振り返るための映像を作成してくれる。その写真の順序やバックグラウンドの音楽を変えられたりと、ユーザー好みに調整できるよう作られている。

また、写真アプリの検索窓が今回進化し、単語だけでなく自然言語を用いて検索できるようになった。

今回、その自然言語処理の進化により、新たにプロンプトを入れることで自分でメモリーの映像を作成できるようになった。被写体やピープルなど簡単なフレーズを入れることで、関連した写真・映像をライブラリの中から探し、それをApple Intが「いい感じ」にまとめてくれる。また、これについても既存のメモリーと同様の編集ができ、Apple Intによって作ったもののみのグルーピングで一覧することもできる。実際の作例は以下のとおりだ。

Memory Movie作成の様子

Transcript

手軽に収録できるAppleの「ボイスメモ」アプリに、ついにリアルタイム文字起こしの対応がされた。口で話している文章をリアルタイムでテキスト化し、ボイスメモアプリ中での検索も、タイトルだけでなく話したテキスト内も検索対象に入っている。これについても現在は米国英語のみであるが、Apple Int対応言語の拡充に伴って増えていく。

筆者の英語力が高くないため認識は決して完璧ではないが、その中でも固有名詞が苦手な傾向が見られた。これに関しては先行他社も似たような傾向であり、やはり難しいところであろう。特にこれについては将来的なローカライズが難しそうとも感じた。

なお、録音後からの文字起こしも可能で、いずれの場合も文字を選択できるため、そこから前述したWriting Toolsを呼び出しSummarizeやKey Pointなどで要約することもできる。その要約をメモアプリ等に保存しておけば、議事録をまとめるのにも重宝するだろう。これについても、実例を下に載せておく。

メール・メッセージ関連

Apple純正のメールアプリ・メッセージアプリには確認と返信を便利にする複数の機能が追加された。以下の画像はメールアプリのアップデート後初回起動時のガイダンスで、Priority Messages(優先度メッセージ)、Message Summaries(メッセージの要約)、Smart Replies(スマートリプライ)の3つの機能が追加されると説明されている。ただし、WWDCで発表があった新しいデザインのメールアプリについては次回アップデートに持ち越しとなった。

Priority Messagesについては、内容をApple Intが判断した上で、重要度の高いものを上部にピックアップしてくれると言う機能だ。また、Smart Repliesはその判断したメールの内容から、自動で返信をしてくれると言うものだが、筆者自身メールのやり取りをしないため、これらについては試せていない。

Message Summariesについては前述したWriting Toolsと似たような機能で、メールの内容を文章形式でまとめてくれる。Claude AIの開発をしているAnthropicのメルマガを実際に要約したので、その実例を以下に示す。

上部に要約が表示された新しいメールアプリ

Reduce Interruptions 集中モード

ユーザーが必要な通知・不必要な通知に分け、ホーム画面やロック画面を専用にカスタマイズできる集中モードの中に、自動で必要・不必要を制御してくれる「Reduce Interruptions /さまたげ低減」というものが追加された。設定アプリ内では、以下のように説明がされている。

When Reduce Interruptions is active, intelligently allow important notification to interrupt you and silence notifications determined not to be important. Any notification specifically allowed or silenced will always be allowed or silenced.

「さまたげ低減」がアクティブな場合、インテリジェントに重要な通知が割り込むことを許可し、重要でないと判断された通知を消します。特に許可またはサイレンスされた通知は、常に許可またはサイレンスされます。

ただし、筆者が使ったところ英語の通知がこないため、全て通知なしになってしまった。これについても、日本語を主に使っている場合ローカライズは必須と言えるだろう。

まとめ

今まで説明してきたことの多くが英語縛りで、且つ言語に依存した機能が多かったため日本語を主として生活している我々にとってはそこまで大きなアップデートではなかった。しかし、英語であればその新機能の多くはきちんと実用性が高い。さらに、年内に登場するiOS 18.2 / iPadOS 18.2 / macOS Sequoia 15.2では画像系やChatGPT連携などが使えるようになっており、現在すでに配布されているBeta版のレビューを見る限り比較的好評である。このような点から、将来性という面では期待のできるAIではないだろうか。

  1. https://www.apple.com/jp/newsroom/2024/09/apple-introduces-iphone-16-and-iphone-16-plus/ ↩︎
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Xから来ました。
Apple好きのガジェオタ、中3。

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