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リリースから1年経った今、Appleの「ジャーナル」アプリに注目する理由

皆さんは、iOS 17の目玉機能の一つとして追加された、「ジャーナル」アプリをご存知だろうか。実装が少し遅れ2023年12月11日までずれ込んだiOS 17.2で導入された。端的にいえば日記アプリだが、それ以上にApple純正であるという点がこのアプリの価値をこれからも高めてくれると思う。今回は、その理由と実際に1年間使い続けた感想を紹介する。

目次

「ジャーナル」アプリとは

「ジャーナル」アプリは、WWDC23で発表されたiOS 17の目玉機能であり、Appleは「人生の瞬間を鑑賞し、思い出を保存する全く新しい方法」であると説明している。実装がiOS 17のファーストリリースから2ヶ月遅れたという点で注目度がそこまで集まらなかったが、Appleがどういったアプローチで展開するかが気になり筆者は登場当初、もっと言えばBetaリリースがされた2023年10月末から1年以上書き続けてきた。

このアプリが優秀な点は、Apple純正だからこそ成し得るアプローチを多用していることだろう。新規エントリーを始める[+]ボタンを押すと、「モーメントを選択して書く」というメニューが出現する。ここには、端末内に記録された写真・動画・聴いた音楽やポッドキャスト・運動の記録・位置情報などを機械学習を用いて書くきっかけを提案する。それらは日にちや時間で区切られ、直近や当日の思い出を振り返りやすくしている。また、過去の思い出や、日付を問わず場所ごとで区切った写真など、過去の思い出も写真を用いて振り返ることができる。さらに幅広いテーマで日記を書くことを促すため、「休みの日にしたいこと」や「今週の良かった出来事」、「懐かしい人」など熟考ができる題材も提案してくれ、それから選ぶこともできる。

これらは、アプリを開かずとも通知により提案してくれる。これにより、ジャーナルを忘れかけた人でも気づき、振り返るタイミングを作ることができるようになっている。通知は1日の始まりや終わりなどユーザー好みの時間にも設定ができ、使い方に応じた提案を受けられる。

ジャーナルの提案の例

また、写真やリンクを共有する際に使う共有メニューのアプリ項目の中にもジャーナルは存在しており、気になった商品とその時の感想をメモしておく、といった用途など幅広く使えるように設計されている。

もちろん、これらの情報はすべてエンドツーエンドで暗号化されており、Appleですら見られないようにセキュリティが担保されているほか、iOS 17の時点からTouchIDやFaceIDによる生体認証を必須とする設定項目が入っている。

iOS 18で「しれっと」進化した

今年(2024年)9月にリリースされたiOS 18では、このジャーナルに新機能が数多く追加されていた。WWDC24中では20秒にも満たない「軽視された」アップデートだったが、そのアップデート内容は非常に重要だと感じた。

まずは、ヘルスケアとの連携だ。従来、「マインドフルネス」を記録するためにはApple WatchやApple Vision Proにより呼吸やリフレクトなどのセッションをする必要があったが、新たにジャーナルを記録している時間もマインドフルネスとして計上されるようになった。そして、ヘルスケアで記録できる「心の状態」をジャーナルアプリからでも「一時的な心の状態」として時間などのデータと共に記録できるようになった。自分の心の状態がプラスかマイナスか、それはどの程度か、要因は何か、などを選択していくことで記録できるという仕組みだ。

ここで記録した心の状態とマインドフル時間は、Apple純正ヘルスケアアプリからグラフとして可視化され確認できる。具体的にどのような項目にチェックがついたときにどのような感情が多いのか、またはエクササイズ時間(Apple Watchのリングのうち、緑に該当するもの)と並べた相関関係があるのかなど、自分で記録した一時的なデータを統計的に測ることができ、自分自身を客観視することにつながる。

そして、ジャーナルアプリでこれらの記録を振り返る方法として、今までのブックマークだけでなく、ワードでの検索ができるようになった。位置情報を元に検索をかけたり、ジャーナル本文を検索したりとすることにより、日記帳のように過去に感じていたことの振り返りがしやすくなった。

WWDC24中で示されたジャーナルの進化

さらに、どれくらい記録し続けたかを図る指標として、連続記録日数や週数といった連続記録、そして累計のエントリー数や記入語数、記入日数やカレンダーなどの統計情報を確認できるようになった。特に、連続記録はその日数の区切りが0:00ではないため、少し遅くなった日などでもルーティーンとしてこなすことで保たれるのは、ほかのデイリータスクを擁するアプリとは一線を画す機能だと感じた。筆者自身、オールをしなければいけないApple Eventの日などを除き、毎日書き続けることで連続日数は56日(9月のIt’s Glowtimeイベント後から毎日継続)、連続週数は昨年10月末から続けて54週続けることができている。累計では、247,958語を371件のエントリーで記入しているそうだ。

筆者の記入量の統計情報

書き溜めることの重要性

前述したiOS 18での各種進化によって、ジャーナルは書き溜めることの重要性を増したと考えられる。

検索機能の充実と感情の記録により、「充足感のあった日は何をしていた」「不安を感じている日は何をしていた」といった、感情と行動をリンクさせて考えられるようになる。もちろん、それ以外にも文章中から検索できるため、「学校」と検索すれば学業でのような嬉しいこと、あるいは問題があったかといった、プライベートな感情を全任しているからこそ得られる情報と結びつきが生まれる。

さらに、この膨大なデータを将来的に活かすことができるとも考えられる。Appleは、今年のWWDC24でApple Intelligenceを発表した際に、個人の情報に基づいて話せる「パーソナルAI」を目指していることを発表した。執筆時点のファーストリリースでは物足りなさを覚えるものの、将来的にはメールやメッセージなどのデータを元にSiriが提案できるようになると発表されている。これに、ジャーナルが組み込まれる可能性を筆者は考える。ジャーナルには個人の考え方の多くが書かれており、ジャーナルを元にした話を仮にSiriとできるようになった場合、自分のことを完全完璧に知ったAIとの対話により自分を客観視した評価ができたり、思い出について話したりもできるようになるだろう。その可能性を探るため、筆者が書いたジャーナル本文を10万字分、Claude 3 Opusに読み取らせ筆者のことを評価してもらったものが以下になる。

最後に、1年間フルで使った立場から、このジャーナルをとても評価しおすすめしたい。もちろん、今から毎日書けと言うのは難しいが、気になったリンクを貼っておくだけであったり、通知が来たタイミングだけであったり、何かきっかけごとにぜひ書いてみてほしいと思う。

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この記事を書いた人

Xから来ました。
Apple好きのガジェオタ、中3。

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