本日2025年2月5日(日本時間)、Appleは新しいアプリ「Appleインビテーション / Apple Invites」を発表・リリースした1。この記事では、実際に使用した画面を交えつつ、どんなアプリなのかを詳しく解説する。
Apple Invitesとは
Apple Invitesは、イベントの招待状・参加依頼を誰でも気軽に作成できるサービスで、iPhoneアプリとOSに制限のないWeb版がリリースされている。招待状を作成できるのはiCloud+のユーザーのみで、送られた側の返答はOSを問わずApple Accountさえあればできる。
イベントのタイトルや日付・場所はもちろん、その会場の天気予報や、イベント参加メンバーのみが閲覧・投稿できる共有アルバム、Apple Musicの共同プレイリストの作成などの従来から存在するエコシステムを活かすことでイベントの企画から運営までをシームレスにサポートする機能が盛り込まれていることが特徴だ。
招待状の作成
Apple Invitesアプリ、またはWebアプリを開くと、右上+マークから新規イベントを作成できる。
まず選べる項目は背景画像で、デバイスにある写真やその場でカメラを起動して写真を撮ることができるほか、プリセットとしてさまざまな背景が用意されている。「絵文字」セクションでは、食事会や音楽系のイベント、旅行系のイベントなどさまざまなシチュエーションを想定したものが14種類用意されている。「写真」セクションでは、絵文字よりも抽象的なイメージや画像を含む背景が21種類用意されている。最後の「カラー」セクションでは、円が重なったデザインが青・緑・橙など7色分色違いで用意されている。
さらに、Apple Intelligenceを搭載した機種では前述した写真・カメラのメニューの右に「Playground」のメニューが追加されている。ここからImage Playgroundを立ち上げることができ、Image Playgroundアプリと同様に用意されているプリセットや、写真アプリにある写真やピープルを選べるほか、プロンプトを入力するなどして自分の好みの背景を作成できる。
設定した背景画像は、「背景を編集」から「背景を調整」をタップすることでトリミングすることも可能だ。
イベントのタイトルは4種類のスタイルから選べ、それぞれSF Pro Rounded、New York、SF Pro Expanded、SF Proである。ただし、日本語の場合はSF Pro系がヒラギノ角ゴシック、New Yorkがヒラギノ明朝に置き換えられてしまう。なお、各種フォントについては以下の記事で解説しているため、ぜひご覧いただきたい。
次の選択項目はイベントの開催日時だ。開催開始の日にちは必須で、4001年1月1日まで選択できるため、事前に予定を立てておくことがしやすい設計となっている。終了時刻の設定は任意で、「終わりの読めないイベント」にも対応する。また、終日イベントにすることもできる。
開催地の入力は必須ではないが、これもイベントタイトルや日時と同じブロックに設定されているため、よほどのことがない限り設定するのが無難だろう。現在地から設定することもできるほか、特定の施設名、または住所を検索して設定する。その建物が個人の自宅である場合など、追加で情報を入れた方が良い場合には開催地の名称を別途設定することができる。開催地の名称の設定は任意で、入力した場合には、参加依頼受信者がその名称と住所を確認することができるようになっている。
主催者の名前は、デフォルトではApple Accountに登録された名前になっているが、イベントごとに名前を変更することができる。そのため、匿名性を維持したい場合や旧姓で登録したい場合など、シチュエーションに応じて変更することができる。
また、同じ「イベントの詳細」欄に説明も追加することができる。
ここから先は任意で状況に応じて設定を選択する項目だ。
共有アルバムは、このイベント専用の共有アルバムを作成することができ、イベントの参加者が誰でも閲覧・投稿できるようにする古語ができる。そのため、当該イベントの中で撮影された写真や動画を気軽に、メンバー内全員に共有することができ、且つAppleデバイスであれば写真アプリや、iCloudの写真ライブラリから確認することができるため、振り返るのが楽になる機能となっている。
共有プレイリストは、Apple Musicのプレイリストに音楽を他者と追加しあえる機能で、このApple Invitesの場合であればイベント中に流すBGMを作ることを想定した機能と言えるだろう。もちろん、自分ですでに作成したプレイリストを選択することもでき、それをお互いに確認し合える。
招待状の共有
完成した招待状は「プレビュー」をタップすることで受け取った側の見た目を確認することができ、それで良いと言う場合は参加依頼をすることができる。
共有する中で最も簡単な方法は「公開リンクで参加を依頼」だろう。メッセージやメールに加え、お馴染みの共有ボタンやリンクをクリップボードにコピーするメニューもあり、どのアプリでも送信できるようになっている。この場合、ゲストを承認制にするか否かが選べ、承認制にした場合には、参加依頼を受け取った人が参加表明をした後に、主催者がその参加者を承認するか否か選べる仕組みで、リンクが第三者に渡ってしまった際の危険性を排除できるようになっている。
その下の「ゲストに参加依頼」は指名制で、住所録から参加依頼を送る人を選び、その人に対し一回限りのリンクを送信することもできる。この場合にも送り方は複数選べ、メールやメッセージのほか共有ボタンからの送信もできる。
実際のデモ
今回は弊誌管理人いちごもちの協力で、実際に共有する様子のデモをしたため、その様子の画面をご覧いただきたい。
テストイベントを作成し、「ゲストを承認」をオフの状態で参加依頼を公開リンクで送信した。
そのリンクを参加依頼を受信した側が表示すると「参加依頼を表示」というメニューが表示され、それをタップした時点で送信した側のゲストリストに反映され、参加依頼を受信した側のApple Accountのメールアドレスを確認することができる。
参加依頼を表示するとイベントの詳細を確認することができ、それをみた上で「参加」「辞退」「仮承認」の3択から選ぶことができる。いずれを選んでも、主催者に返信を送信し、その参加者がゲストリスト上で閲覧できるメッセージも追加することができる。今回のデモでは参加を選んだため、ゲストリストには1人参加と表示され、お互いに主催者とゲスト1人がいるということが確認できるようになっている。
Web版の存在意義
今回のApple Invitesは、アプリが存在するのがiPhone版のみであり、iPad版やMac版は存在しない (正確に言えばiPadからiPhone版アプリを表示することはできるが、画面解像度など決して最適化されているとは言えない)。しかしながら、その代わりにWeb版が存在しており、iPadやMacで操作することができるのはもちろん、AndroidやWindowsなどといったApple製デバイス以外でもほぼフル機能版が使えると言うのが大きいトピックだと感じた。なお、このApple InvitesのWeb版はPWA (Progressive Web Apps)に対応しており、iPadやMacのSafariなら「ホーム画面に追加」からホーム画面にApple InvitesのPWAを追加することができるため、ネイティブアプリと遜色ない動作ができる。
また、Apple Invitesと合わせて使える写真の共有アルバムやApple MusicなどもApple AccountさえあればWeb版からほとんどの機能が使える項目であり、今回のApple InvitesではさらにiCloud+の課金が前提ではあるが招待状の作成を含めたほぼ全ての機能が使えるため、Appleが広く普及させたいと言う意図が感じられるサービスであった。
総括
Appleによる完全新作のアプリはジャーナル以来であり、Appleエコシステムを活かしつつも間口を広げた戦法は今までにない新しいアプローチだと感じた。どうしてもこういった招待状などの相互ネットワークのフレームワークを使ったものは各国の文化圏に依存するところも大きく、すぐに市場を席巻できるものではないが、だからこそApple製デバイスに限らず誰でも使えるように間口を広げて、頻繁に使うようになってもらってから、Image PlaygroundやWriting Toolsなどによってより便利に利用できるAppleエコシステムに誘導すると言うやり方なのかな、と筆者は感じた。また、これが広まってきた暁にはiCloud+への課金も誘導でき、Apple Invitesの招待状を作成できるからiCloud+に課金する、と言うユーザーが増やせればよりiCloud+のユーザー数を獲得することにつながるだろう。
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